story14
静まりし二つの羽根4
逆さ次元城の伸縮運動は日ごと早さをましていた。
それに合わせた自転周期はおよそ24時間と.12分、そのダイムは一見ゆるやかになっていくように感じる。
時計の針が進むのが、何かおそくなっているように、レクはサファイアモンドの港町で感じていた。
もしも、その伸縮運動で四次元がバランスを失えば、築き上げた時計が世界が無に帰す。
レクは引き出しから砂時計を取り出すと、砂時計の落ちる時間はおよそ3分と15秒、以前おちる速度はたしか、4分。
次元は体感とは逆に早まっているのか、砂の減りもあるし、普遍かもしれないな。
レクは納得したように砂時計を引き出しにまたしまった。
この世界からイエムの気が遠のくのを感じていた。
なにか、このハーバーの波がふだんより、乱れ音の波にジリジリと不協和音が生じ始め、高鳴ったり引くまったりせわしなく激動をはじめている。
もう、黄泉の進軍は足音を立てちかづく。
失った人を思う人の気持ちが、それをはやまらせるのか。
ゼラルドの軍は、ダイムの軍と同盟を締結し、黄泉の軍を挟撃、一掃すべく、作戦を戦線を
ダイム城の西、ルナの森に移すべく策を練っていた。
壁に挟まったばあさんが歯軋りをしながら、生者はだらしない、と歯をがくがくとさせながらののしった。
イエムは過去のもう一つの世界から、
分岐された未来に戸惑っていた。
つづく。
コメントを残す