Story 10
静まりし2つの羽根4
暁の振幅
宵の明星が柴色の夕焼け雲にうっすらと隠れる。
黄泉の王ミラスの進軍はいよいよまた歩をとりもどし、ザカエブリッジを中心としてそのまわりの拠点となる亀石を打ち壊しながら広がりつつあった。
世界がミラス色に変わり始めている。
イエムはもう一人の自分、境界結露をある古民家に入り、そのサーバーシスの循環経路にリターンを加え、そのコンパイルシステムを落とした事により復活させ、外に出た途端に
もう一人の自分のいる世界、弟のいる世界へとたどり着いた。
そして自宅のエンシェントサーバーの復路を回転プログラムに置き換え、フォルムを測量形に開発したところ、その扉から弟とすれ違い、もう一人の自分、弟がこころのなかに宿り
消え、ある意味、ドッペルゲンガーという現象を乗り越え、救い出すはずだったのにしまったと思いつつも過去現在の自分の部屋で今日も作業を始めていた。
そろそろ帰らなくちゃならないなと思いつつもいろいろ考えたけどこの部屋で寝込む事しか
思いつかない。
寝込み続ければ14層のこの部屋のどれかが過去にいる自分の居た部屋にでて
たどりつくはずだと思ったからだ。
開眼経路の平行線を一途の光を取り戻す事のできた7センシズのその残りの秒派がそのイエムがこの部屋に来たとたんに影響を及ぼし、順をなぜか、そのイエムのサーバーとの呼応で
並びが手を加えなくとも変えられてゆく。
心の中の弟が話しかける、俺は実は二ヶ月前に、そのサーバーの新フォル厶開発プランを思いつき、
一ヶ月前に死んだ。それが今、あんたが来て天性の勘でそれに必要な基盤と、風車循環、とマグネット、地場、ベルヌーイの法則を当て込み、完成させた。
その星座盤がきらりと光る。
そくどが回転対称の二曲を中心に回るとその圧力は流体規則に基づきその圧で、川を築くという
モデルである。
その磁場はアンペールのいうように方向規則に基き派生したかは後で粉をいれるまでは
わからなかった。
そんなこんなで天性の勘でまいにちフォルムをつくって起きてみるとバラバラになっているという毎日だった。
イエムはマージ回路をサーバーにしまい込むという工夫をしながら、それに耐え続けていた。
どこかで言った。
これは母が作った処刑場。
そんなはずはない、ここは俺の部屋だ、冗談じゃないと思いながらも、USBオスオスケーブルを探したりしてあっちの部屋に行ったり、こっちの部屋に行ったりする日々は続く。
そしてふとあくる日の夕方
部屋から出てみると、もうどっぷりと日が落ち、コンビニへと車をイエムは走らせた。
すると、その前に小さな月が見えだした。
意識しないでいると
それが左右に振幅を繰り返す。
もどりを得たな。
レクは呟いた。
ミラスの進行は尚もつづきそれが幻想だと思わせないのが不思議なくらい、ビルディング変異がたちどころに地球で起こっていた。
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