静まりし2つの羽根4

終章 飽和合体

イエムの迷いの中の積み木は徐々に大きくなり、夏の通り雨の

落雷のあと、心の暗黒は消え去った。

今までの歩みの中で、今の自分のポジションと結果が

確かに自分の部屋の中に息づいている。

歴史を託されるという責任感と同時に他者が自分の貢献を

受け入れられないという事になるのは

他者の貢献を自分が認めなかったのに違いない。

心の中でイエムの迷いは消えた。

だがしかし了解もない勝手な行為は止めなくては!!

イエムは暴走する自分の組織体を生み出された未来へ

また戻る事を決意した。

その目の閉じる事のなかった世界は、オープニングアイズを

イエムが過去からその今に飛び込み、弟と同化する事によって

合体したことですでに開かれてしまったのだ。

その別れた時間軸をくみなおすのは晶文だ。

イエムはその三元のばらばらになった時間軸を、三日三晩、

経を詠唱する事で時間軸の崩れを統一した。

そしてレクが今、逆さ次元城のコア、制御室にふたたび

その腕時計のコアを持ちながら、それを合わせ、

統合した。

その瞬間、逆さ次元城は元の大きさに戻り、複雑な神経回路は

世界を覆った。

そしてその制御は銀河となった。

そこから今レクのオンライン通信がイエムの部屋に入った。

レクは言った。

マテリアルを空に浮かべたらきっと本の花は内開く。

逆さ次元上の伸縮開発で組成された素材とイエムのいる過去の素材と

が合わさり、あらたな発光体となってイエムを包む。

そしてイエムが再び、詠唱した瞬間

その大きな発光体の花が開いた。

二人の涙の花が開くとき

そして

その前に突如、逆さ次元城が網につつまれ

イエムの前に映し出された。

そしてレクとイエムが合わさり

レクイエムとなって歌が流れ出した。

やすらかなテンポのその歌が辺りをつつみ。

そして都会の華やかな夜景がさらにきらびやかな今日となって

過去のそのはずだった延長線上からへの今へと

変わった。

イエムは静かにただずむと

詠唱文をもちあげ

頭を下げた。

これからもかわぬ日常がありますように。

そして黄泉の街、ハラスパス、ハイド軍とゼラルドの間に

終戦協定が結ばれた。

      ーーEND–

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