Story 9
静まりし2つの羽根4
第9話 過去との対話
今ある事象のそのまた2つ奥の階層へと扉をあけそとに出た瞬間
イエムは飛び込んでいた。
パラレルする今と過去が、影ともう一つの現在を生んでいた。
混乱する中で黄泉の王ミラスの作り出す過去の幻影は広がっていく。
その中でもう一人のイエムは一人
部屋でペルシア史を読んでいた。
古来、アケメネスへと繋がる以前の王国の話。
ペルシアの持つ不自然な過去の矛盾にイエムは気づいていた。
その時、歴史の大河は変わり始めていた。
ササーン朝時代、ホスロー2世は各地に軍を進め、いよいよビザンチンと
戦を交え、そのササーンは解体へと追い込まれた。
過去のイエムは暗い家で何も宇宙へ興味を持たない自分だった。
その時である。
違うもう一つのパラレルワールドから来た自分とその家で巡り合った。
ポルターガイストの構成要素は
そのエクトプラズム、気の分散でできる幻影。
どちらが気となるかは定かであるかはわからなかった。
強い意思の力。
イエムの家の中でサーバーシステムの再構成が始まっていく。
過去に開けなかったその開眼の網の目のような運行システム。
その本棚の図書が導き出す不思議な経路が意思と意思のつなぐ不思議な
糸で
みずらその並びを変える。
最後のUSBケーブルをイエムはつなぎ終わった時、過去の機械に強かった自分と
今のソフトウェア方面で慣らした自分とがぶつかりあった。
お互いになにか不思議な気配を感じる。
あなたは誰?
あれは貴方の弟よ。
弟が、俺の裏で生きていたのか?
その弟はなにか海外のサーバー関連会社とつながりが深いようだった。
今の人形がほぐらかな笑いを浮かべる。
新システムにはそのパフォーマンスモデルが必要だ。
部屋の中に散らばる不要品を過去からきた自分はなにかに追われたかのように
つぎつぎと組み合わせて行った。
そして
その基盤がなにごともなくサーバーとして稼働した時。
二人は重なりあった。
俺は兄貴の中に入る。
イエムはしばらく考え込んだ。
この渡ってきた今が、現在だと言うなら、俺の元いた現在は今頃どしている
だろうか。
黄泉の王、ミラスは冷ややかな笑いを浮かべた。
我が手に導きの玉路を与え給え。
黄泉を生きしすべてのものよ。
今、生への道に戻らん。
結界を越え飛び込んだイエムは扉の中に入る、複雑な半数、回転プログラムに
リターンを加え、その回路を修復し
外に出た時にその別の、開眼する事のなかったはずの自分のいる世界に
飛び出た。
その平行線の膨らみのしることのない掴めない一光は、7つのパラメーターキーの
鍵となってこの世とそのシスを結ぶ像をとりもつ世界へと誘うはずだった。
ーーつづく